11.26
Wed
月に吠えらんねえ14話掲載、アフタヌーン1月号発売中です。
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(終)と書いてありますが「遠い旅」編の終わりです。物語は続きますよーー

内容は……
犀が「猫屋敷になってしまう」と言っているので
犀星の猫の詩を紹介致します。
犀星は猫好きで、愛猫たちとの微笑ましい写真が複数残っています。

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 愛猫

抱かれてねむり落ちしは
なやめる猫のひるすぎ。
ややありて金のひとみをひらき
ものうげに散りゆくものを映したり。
葉のおもてにはひかりなく
おうしいつくし、法師蝉、
気みぢかに啼き立つる賑はしさも
はたとばかりに止みたり。
抱ける猫をそと置けば
なやみに堪えずふところにかへりて
いとも静かに又眠りゆく。

ーー「愛猫」室生犀星『青き魚を釣る人』
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 猫

暮れるに間もない明りに浮いて
白い猫がふるへて縮んでゐる。

誰もその猫を呼んでやるものがゐない
猫の心は悲しいにはちがひない
猫の心には蔭ばかりが溜つてゐるのに
自分で明るくしようとすることができずにゐるのか
ひた鳴きに夕方の寒さのなかで鳴いてゐる。

猫の心は白い綿のやうで
その繊維が見え透くほど
悲しげに見えてくる。
けれども猫の心をおし測つたとて
いまのわたしに何が解らう
猫の心は猫の心でひとりで悲しからう
わたしはわたしでひとりで悲しい。

けれども猫の心が香うてくる
目を閉ぢたり開けたりしながら鳴く猫の心は
蜆のやうな蔭をおとしてくるのだ
冴えた冬明りのなかから来るのだ。

ーー「猫」室生犀星『高麗の花』
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 猫のうた

猫は時計のかはりになりますか。
それだのに
どこの家にも猫がゐて
ぶらぶらあしをよごしてあそんでゐる。
猫の性質は
人間の性質をみることがうまくて
やさしい人についてまはる、
きびしい人にはつかない、
いつもねむつてゐながら
はんぶん眼をひらいて人を見てゐる。
どこの家にも一ぴきゐるが、
猫は時計のかはりになりますか。

「猫のうた」室生犀星『動物詩集』
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犀の猫屋敷は「ノート」の世界ではちゃんとあるようです。
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